少し前に検診での血圧の正常範囲が学会や検診先によって微妙に違うと話題になっていました。
収縮期血圧が130~160までの方を高血圧として投薬するかどうか議論されていました。どこの見解でも160以上は高血圧とされています。
血圧が高い場合もっとも懸念されるのが脳卒中になるリスクです。160以上になると正常値の4倍以上の発症リスクがあると言われています。
さてここで問題です。
「収縮期血圧が160未満のグループと160以上のグループを比較した時どちらのグループの人が多くの脳卒中を発症するでしょう?」
仮に高血圧のグループの発症率を4倍としましょう。
1000人について調査、血圧が160以上の方が20%いたとしましょう。
血圧160未満で脳卒中を発症する人が1%とすると160以上で発症する人は4%になります。
この数字を基に計算すると
160未満では
1000人の80%で800人
800人の1%で8人が発症します
160以上では
1000人の20%で200人
200人の4%で8人が発症します
そう、この2つのグループから脳卒中を発症する人数は同じなのです。
だからと言って高血圧のかたのリスクが4倍であることには変わりありません。
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この数字のマジックは観点の違いによるものです。
1つは血圧によって中脳卒中を発症する人数を比較、もう1つは発症リスクを比較しているのです。
つまり検診は判定基準を超えた危険度の高い人だけを対象にして対策を立てるものなのです。しかし、これとは別に、健診をしないで血圧が高い人も低い人もひっくるめて全体に対して対策を立てるという方法もあります。
血圧でいえば、全対象者に減塩指導や運動を勧めるというやり方です。この方法は境目を決める必要がなく、正常血圧者から発生する脳卒中の予防も考慮するという点で、健診よりも大きな効果をもたらす可能性があります。
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