遺伝子レベルで素晴らしい発見があったようです。
関西学院大理工学部の関由行准教授らのグループは、マウスの胚性幹細胞（ＥＳ細胞）が分化して万能性を失った細胞に、遺伝子の１種類を働かせることで、再びＥＳ細胞に戻せることを発見。
１１月１８日に米電子科学誌ステムセルリポーツに発表するようです。
関准教授らはマウスのＥＳ細胞を使い、受精後６・５日後に相当する「エピブラスト」と呼ばれる細胞を作製。この時、細胞はあらゆる細胞に変化する万能性をすでに失っていますが、生殖細胞をつくるときに作用する「ＰＲＤＭ１４」という遺伝子を強制的に働かせると、再び万能性を回復しました。
このＥＳ細胞は受精後３・５日の状態に相当し、３日間細胞の状態を巻き戻したことになります。
この巻き戻し過程での遺伝子の働きは、生体内で細胞が万能性を獲得する「初期化」の１段階に当たり、初期化メカニズムの一部が解明されたことになります。
ES細胞は受精直後の細胞のため実際の医療への応用は難しい細胞です。では、現在医療に応用されつつあるiPS細胞ではどうなのでしょうか？
関准教授によると
、ｉＰＳ細胞では元の細胞の「記憶」がＤＮＡに残され、さまざまな細胞に変化する能力が劣ることがあるが、ＰＲＤＭ１４は記憶を除去する働きが確認されたと言っています。
さらに関准教授は「生理的な初期化の原理をｉＰＳ細胞に応用し、高品質化を目指す研究を進めていく」と話されているようです。
今後の研究に期待したいですね。
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